東京・田園調布 お菓子教室・フランス料理教室・テーブルコーディネート教室 村松操 主宰/サロン・ド・トレミニョン テクニック・マナー・インテリジェンス

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ルネサンス前夜の巨匠・ジオット「羊飼いのお告げ」

2020.12.03 Thursday



過去ブログ「美術への招待」より:

クリスマスが近づいてきました。過去のブログから、こちらの作品について書いたものをデータ移行します。

2011年12月25日に記したもので、この年は、東日本大震災があり悲しみにくれた年でもありました。2020年は、地球規模での新型の感染症との戦いの年となりました。ワクチンの開発も進んでいます。人類の試練とも言える今、この絵画を眺めながら、人間の叡智と、長い長い歴史を感じつつ、現代における新しい時代の幕開けがどのようなものになっていくのか、想像しています。以下、過去ブログの記載となります。

初期ルネサンスを導くことになった巨匠、ジオットの作品です。

美術史学としては、もっと大事なものがありますが、ここは大学の授業ではないので、今日のクリスマスに合わせて、キリストの物語の中から、この場面を選びました。

キリスト誕生は、世界を救う「救い主」の誕生として望まれていましたが、それを阻止しようとする王もいて、聖書を読むということは、私たち現代の人間模様を観察しているようでもあり、とても趣き深いものがあります。

ジオットは、いまだ中世に属する画家ですが、中世絵画とは一線をかくす、人体表現、写実性が認められる点で、美術史上に価値を持つ人物。

中世的な図像性のある表現に、人間的な動きが感じられ、私にとっては、こういう過渡期的な作品が魅力的。

彼の作法は後のマサッチオに受け継がれ、初期ルネサンス、盛期ルネサンス、へと、西洋絵画は流れていくのでした。

皆様、休日をいかがお過ごしですか。のんびりと過ごすクリスマス。聖書にひさびさに接しながら、私も堪能しています。

印象派の理念に一番忠実だった画家・モネ「印象 日の出」

2020.09.21 Monday

出店:ウェキペディア


ヨーロッパへの招待:

印象派の画家・モネの作品『印象 日の出』。

他の『睡蓮』の連作など、色鮮やかで美しいものの方が絵画鑑賞にはいいのかもしれませんが、この作品なくして「印象派」はありえず、歴史的な絵画なので取り上げます。

この作品は酷評を受けました。なぜなら、それまでの絵画の概念を覆したからです。新しい「絵画」という芸術の定義がここから生まれていくことになったと言っても過言ではなかった、ショッキングな出来事でした。

刻々と移り変わる光と色の世界、それを描く。

構図など、それまで「当たり前」とされてきたことは二の次。これからの絵画という芸術ジャンルにとって必要なのは、新しい絵画の使命だとモネは、その印象派の理念に一番忠実に生きた画家です。

この作品を観ていると、新型コロナによって「新しい生活」を模索している私たちへのエールにも思えてきます。きっとまったく新しい社会がこれから誕生してくることでしょう。と、モネの作品を眺めながら願っています。

author:村松操

ロココの美しい絵画・ヴァトー「シテール島への船出」

2020.08.15 Saturday

出典:ウェキペディアより


ロココの時代を代表する名画です。ヴァトーの作品『シテール島への船出」です。


けぶるような黄金色。

もわっとしている夢のような美しさ。

優しい色合い。

これらが「女性的なロココ」の特徴と言われています。


ロココの前のルイ14世の時代は、まさに絶対王政のさなか。ヨーロッパの中心として、世界の中心として、あの壮大なベルサイユ宮殿が建てられました。王が全宇宙を支配するかの如く振る舞い、中央集権国家が生まれた時代です。政治から文化、芸術にいたるまで、ルイ14世は徹底して法則化し国家を築いていきました。


その反動として生まれたのがロココ。ルイ15世の時代です。
芸術様式も全時代と大きく異なり、男性的なものから女性的なものへ。貴族趣味、快楽的、享楽的なものへ。描かれるテーマもそうした傾向へとシフトします。貴族や富豪が力をつけていく時代の中で、描かれる絵画も彼らが中心となっていきました。


ロココでは、ヴァトー、フラゴナール、ブーシェが活躍しました。日本では、ポンパドール夫人の肖像画や、それこそエロティックな内容を美しく描いた新しい時代を象徴するかのような作品『ブランコ』が、ロココの絵画として好まれているように思います。


貴族達が自分たちを主人公に、夢の一場面のごとく、また美しい舞台のシーンのごとく描いた作品です。ロココが残した「雅宴画」と呼ばれるジャンルの特性を、この一枚から読み取ることができます。