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勝利の女神「サモトラケのニケ」の彫像 人類の宝・ヨーロッパ文明の遺産

2020.12.19 Saturday




ヨーロッパへの招待

過去ブログのカテゴリー「美術への招待」からデータ移行しています。2010年12月31日に記したものです。

ルーブルで一目惚れをし、この作品の前でどれだけの時間を過ごしたことでしょう。ギリシャ悲劇の作品群を思い起こし、ギリシャ・ローマ神話の世界に浸り、ヨーロッパ人が原点とする古典古代の世界が本当に実在していることを肌で確信させてくれたのがこの作品でした。

美しいものを見ると心が優しくなる。それを優雅というのだそうですが(パリ社交界でのある方のお言葉)、魂が震え上がるほどの感動を覚えました。以下、過去ブログの記載となります。

2010年、今年最後にご紹介する作品は、これ。有名な「勝利の女神・ニケ」の彫像。世界で最も美しい、と、そう確信している作品を、2010年を飾る最後の美術品として、皆様にご紹介します。

絵画よりも、建築よりも、音楽よりも、宝石よりも、この世の中のなによりも美しいと、そう確信できるものに出会えたことは、大変幸せなことだと思っています。

それだけで、人間の叡智を信じられますし、他国の文化、歴史を重んじる、そうした豊かさが心に生まれます。

敬愛するレオナルド・ダ・ヴィンチを超えて、なお美しく輝くのこ彫像は、古代ギリシャ美術の代表的作品。

流れるような曲線美、そして、今にも動き出すのではないかという躍動感。ヘレニズム期特有の派手なポーズ、ではありますが、優美さの中に、勇者を導くダイナミズムが、美しいバランスをとって表現されています。

この女神をのせた船、この女神を信じて戦う戦士達。神の恩寵をもたらすとされる「ニケ」が、船の甲板に降り立ち、その翼を大きく広げ、勝利を予告します。

歴史的には、ロードス人が海戦での勝利を神に感謝し、奉納したものとされていますが、その昔、この女神に勝利を託し戦っていた戦士達の、奮い立つような英気を想像し、古代ギリシャの世界に浸ることが、この作品との対話の醍醐味でしょう。

ルーブル美術館に所蔵されている沢山の傑作作品の中でも、特にこの「サモトラケのニケ」は、群を抜いて輝く、人類の宝であると思っています。

パリに行かれた際には、是非、ルーブルにお立ち寄りになって、この美しい彫像を鑑賞されて下さい。聖なる空間というか、神々しい風を、この作品から観照して頂けたら、大変嬉しく思います。

人間以外でなれるものがあるとしたら、私はあの女神になりたい・・・。あのとき、ルーブルで思った気持ちは、いまもまだ変わらず鮮明に残っています。