2018.01.26 Friday
クリムト。ウィーン世紀末美術を代表する人物です。
西洋美術史の教科書には必ず登場してきます。なぜ、こんなのが・・・・と思ったのは大学生の頃。その後、ヨーロッパに行くようになり、留学もし、ウィーンにも赴き、そんなことを重ねる中で、出会ったのが「大クリムト展」でした。
ドイツ語がわからないから何を記念してのことだったのかいまだに不明ですが、クリムトの作品ばかりがズラ~~~と並べられていて、一種独特の雰囲気で、入場しようかどうか迷ったくらいでした。
クリムトばかりを見つめているうちに、それまで私の中にあった先入観が浮き彫りとなり、ダメだな・・・・と反省したことを思い出します。
眠れる美(いまだ発見されず隠されている新しい美)の発掘をするのが役目なのに、持ってないようで持っているのが決めつけなんだと経験しました。こんなことじゃ「作品」と対話なんてできてない、と、がっくり肩を落としました。
美しいクリムトの装飾美。
彼女のドレスも、その上に羽織っているお洋服も、椅子も、何もかもが、それぞれ独自の文様で表現されています。細かく鑑賞することに意味のある作品がクリムトなんだろうと思っています。
目のような文様、見えますか。彼なりの意味合いを込めて、世紀末らしいメッセージも実は織り込まれている作品です。
言いたいことはいっぱいありますが、ここでは、まず、うっとりと眺めてもらうことを主眼としています。美しさを生み出すために、画家たちがそれぞれのオリジナルの表現法を見出していった努力と功績。時代を超えて愛され続ける人類の宝物には、圧倒するようなパワーと、唯一無二の作り手の生き様があるように思えてならないのです。
皆様もご一緒に、この絵、しばらくじ~~~~っと見つめてあげてください。